偽痛風

偽痛風

 

偽痛風というと偽の痛風?という感じを受けますが、やはり痛風と同じように膝や足の関節に激痛が走る病気です。痛風と同じような症状がありながらも高尿酸血症がみられないという特徴から、偽痛風と名づけられました。

 

偽痛風は原因がはっきりと解明されておらず、症状の現れ方にも様々な種類があることから、他の病気と間違われやすい病気です。生命を脅かす病気ではありませんが、ひどくなると関節の炎症を繰り返したり、関節の破壊が進んだりして、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。

 

 

偽痛風の症状

 

偽痛風は、その病名のごとく痛風によく似ていて、関節に激しい痛みや腫れ、発赤、熱感などを生じることが多い病気です。偽痛風は膝関節に最も多く発症する他、足関節や手にも発症しますが、なかには発熱や体重減少などの全身症状を伴う場合もあります。

 

偽痛風には様々な病態があり、それぞれ他の病気との区別がつきにくい特徴があります。痛風に似たものの他、関節リウマチに似たもの、変形性関節症に似たものなどがあり、それぞれの病態は以下のように分類されています。

 

A型:偽痛風発作型

急性・亜急性の関節炎を繰り返す、痛風によく似た病体を示すタイプです。発症する部位は膝が70%と最も多く、足関節や手、肘にも発症することがあります。

 

B型:偽性関節リウマチ型

関節リウマチとよく似たタイプです。比較的慢性に経過し、多関節に及ぶ強い炎症所見や、朝のこわばり、血液検査での炎症所見など、関節リウマチと間違われやすい病態です。

 

C型:偽性変形性関節炎型

徐々に進行する慢性関節炎を呈するタイプで、急性発作を伴うもの。

 

D型:偽性変形性関節炎型

C型と同じく、徐々に進行する慢性関節炎を呈するタイプで、急性発作を伴わないもの。

 

E型:無症状

関節内にピロリン酸カルシウムが析出しても関節炎を伴わないタイプで、約半数がこの病態です。レントゲン撮影では関節の隙間に石灰化を認めます。

 

F型:偽性神経障害性関節症型

重い機能障害や高度の関節破壊がみられる病態です。

 

 

偽痛風の原因

 

偽痛風は、関節内でピロリン酸カルシウム(CPPD)が結晶化し、遊離することで組織が刺激されて炎症を起こすといわれています。原因は詳しく解明されていませんが、60歳以上の人に多く、加齢よって痛んだ軟骨に結晶が沈着しやすいことが関わっていると言われています。

 

偽痛風の発症に男女差は無く、遺伝的な原因によるものや、副甲状腺機能亢進症や副甲状腺機能低下症に伴って発症するもの、変形性関節症や関節リウマチに伴って発症するものなどがあります。なかでも副甲状腺機能亢進症は偽痛風が発症する誘引になることが知られています。

 

偽痛風は、ピロリン酸カルシウムが結晶化したからといって全ての人に発症するわけではなく、関節に石灰化があるほどの状態でも約半数は無症状のままです。痛風の発作と同様に、他の病気や傷んだ軟骨組織など何らかの刺激が誘因となって発作が起こると考えられています。

 

 

偽痛風の検査と診断

 

偽痛風の診断は、関節液を採取してピロリン酸カルシウムの結晶があるかどうかを調べることによって行います。また、レントゲン撮影を行い、関節軟骨への石灰化が認められるかどうかも重要な指標になります。

 

さらに、病態によってはそれぞれの似た病気との識別のために、各種の血液検査等を行います。A型では尿酸値、B型ではリウマチ関連の検査をして判別を行います。また、F型の場合には必要に応じてMRI撮影を行い、神経障害やその原因になるような病変がないかどうかの確認もします。

 

 

偽痛風の治療法

 

偽痛風は、根本的な原因が解明されておらず、関節内のピロリン酸カルシウム濃度を低下させる治療薬も現段階では無いため、治療は対症療法が中心になります。治療方法には以下のようなものがありますが、必要に応じて行います。

 

関節穿刺および関節腔内注射

注射器を使って関節液を抜いたり、ステロイド剤を関節内に注入します。ピロリン酸カルシウムの濃度を下げたり、炎症を抑えたりと、一定の効果が期待できます。

 

消炎鎮痛剤の投与

消炎鎮痛剤を内服したり、湿布薬を貼付して痛みと炎症を軽減します。

 

ステロイド剤の内服

発熱やリウマチ様の全身症状がある場合には、ステロイド剤の内服を行うこともあります。

 

リハビリテーション

変形性関節症を合併することも多く、日常生活の質を維持するためにリハビリテーションを行うこともあります。生活習慣の改善や筋力強化は、症状によっては大きな効果をもたらします。

 

手術

関節の炎症を何度も繰り返す場合には、関節鏡を用いて関節内の洗浄を行うこともあります。また、関節の変形が激しく日常生活に支障をきたすような場合には、人工関節置換術を選択する場合もあります。

 

治療薬の参考情報

シメチジンとファモチジンという、本来は胃潰瘍などの治療薬として用いられている薬に、偽痛風への予防効果が確認されたという報告があります。透析時に起こる異所性石灰化への効果を応用したところ、一定の効果が確認されたそうです。偽痛風で軟骨に沈着した石灰化が薄くなった例もあるそうですので、今後の治験や医薬品承認が期待されます。