化膿性関節炎

化膿性関節炎

 

化膿性関節炎とは、何らかの原因で関節内に細菌感染が起こり、化膿してしまう病気です。この病気は放っておくと、関節表面の軟骨が侵され、さらには骨まで破壊されて、関節に障害が残ってしまう可能性がありますので、早期に治療することが必要です。似た症状であれば、すぐに整形外科に受診して治療を受けることが大切です。

 

化膿性関節炎の症状

 

以下の症状が化膿性関節炎では見られます。

 

関節の症状

化膿性関節炎の場合、関節の痛み、はれ、熱感、発赤などの症状がみられます。細菌感染のため、痛みだけでなく炎症を起こして熱を持ち、はれもあります。ひどくなると関節内に膿が溜まり、関節の動きに制限が出たりすることもあります。グラム陰性菌による感染の場合には痛みを伴わないこともあり、急激に症状が進んでしまうこともあるので注意が必要です。

 

また、小児の股関節の場合には、しゃべれないためにどうしても発見が遅れがちになります。おむつ交換のときなどにひどく泣いたり、股関節をほとんど動かさないなどの特徴がありますので、おかしいと思ったら早めに医師の診察を受けましょう。悪化すると、関節を包む膜が伸び切って脱臼することもあります。やはり、早期に発見して治療を開始することが大切になります。

 

全身の症状

化膿性関節炎は感染症であるため、関節の症状だけでなく、発熱や悪寒、食欲不振、全身倦怠などの全身症状が出ることも多くあります。全身症状は出ないこともありますし、微熱程度のこともあります。

 

 

化膿性関節炎の原因

 

化膿性関節炎の原因は細菌感染で、免疫力の弱い高齢者や小児に多い病気です。起こる部位は膝が最も多く全体の約半数を占めますが、他にも股関節や足関節、肩関節などでも起こることがあります。

 

感染経路

感染経路で最も多いのは、他の部位の感染巣から血液を介して感染するケースです。その他には外傷によって傷口から細菌感染する場合、細菌が付着した注射器を介して感染する場合などが考えられます。また、人工関節置換術後の約2%に起こります。このように、何らかの原因によって細菌が関節内に入り込んでしまうことによって起こります。

 

原因菌

化膿性関節炎の原因菌として最も多いのは黄色ブドウ球菌ですが、他にも連鎖球菌、肺炎球菌、MRSA、淋菌、緑膿菌、大腸菌、様々なウィルスなど、原因となるものには菌やウィルスなど様々なものがあります。

 

小児の場合には黄色ブドウ球菌などによる感染症から菌血症になり、血液を介して関節炎になることが多いです。若年の成人では黄色ブドウ球菌の他、淋菌による感染も多くなっているようです。高齢者ではグラム陰性菌による感染も多くなっています。

 

免疫力

感染症には原因菌だけでなく免疫も大きく関わっているため、化膿性関節炎は比較的免疫力の弱い高齢者や乳幼児に多く見られます。また、糖尿病や肝臓病などの慢性疾患があったり、免疫抑制剤や副腎皮質ホルモン剤などを服用している場合など、免疫力が著しく低下している状態ではリスクが高くなってしまいます。

 

 

化膿性関節炎の検査と診断

 

化膿性関節炎の診断には、まず白血球数、血沈、CRPなどの血液検査で炎症反応をみます。次に関節穿刺で関節液を採取し、細菌の培養と抗生剤への感受性検査を行います。ただし、細菌検査は結果が出るまでに日数がかかるため、まずはグラム染色を行って原因菌を絞り込んだり、患部の状態から菌を想定して治療を行います。

 

関節炎を起す病気はたくさんあるため、そういった病気との識別のための検査も場合によっては必要になります。蜂窩織炎や、小児の場合にはペルテス病などが識別疾患となります。特に、関節周囲にできた蜂窩織炎の場合には関節穿刺は禁忌となりますので注意が必要です。

 

 

化膿性関節炎の治療法

 

化膿性関節炎は症状が急速に進むことが多く、軟骨や骨に炎症が及び関節に重大な障害が残ることもあるため、一刻も早く治療を開始することが大切です。

 

化膿性関節炎の治療では、まず抗生剤の点滴を行いますが、治療開始時には原因菌が特定できないことがほとんどであるため、最も原因菌であると思われるものをターゲットに抗生剤を選択します。グラム染色が陽性であれば黄色ブドウ球菌をターゲットとしてセファメジン等を選択します。また、グラム染色が陰性であれば、淋菌等の可能性も考慮して抗生剤を選択する必要があります。

 

患部の状態を見ながら改善が無いようであれば抗生剤を変更することもあります。また、細菌培養の結果が出て原因菌の特定と感受性のある抗生剤がわかったら、必要に応じて薬剤の変更を行います。MRSAが検出された場合にはバンコマイシンを投与しますが、最近ではバンコマイシンに耐性のある菌も出現しており、新薬の投与が必要になります。

 

また、抗生剤による治療と共に、関節穿刺をして膿を吸引したり、必要に応じてドレーンや生食による洗浄も繰り返し行います。それでも良くならない場合には、関節を切開して膿を洗い流し、悪くなった部分を切除することもあります。また、手術には関節鏡を使って行う方法もあり、この方法では傷口が小さくて済むため患者の負担は少なくなります。

 

治療後に動かさずに置いておくと関節が拘縮してしまうので、痛みが軽減したら出来るだけ早く理学療法や運動療法を開始します。