膝蓋大腿関節症

膝蓋大腿関節症

 

膝蓋大腿関節症とは、膝関節を構成する二つの関節のうち、膝蓋大腿関節に炎症が起こる病気です。膝関節にある二つの関節とは、膝蓋骨と大腿骨からなる「膝蓋大腿関節」と、大腿骨と脛骨からなる「大腿脛骨関節」関節です。膝蓋骨と大腿骨の関節にある軟骨がすり減って炎症を起こして膝の上部に痛みを覚えるようになりますが、これは変形性膝関節症が膝蓋大腿関節に起こった状態ともいえます。

 

 

膝蓋大腿関節症の症状

 

膝蓋大腿関節症には、主に以下のような症状があります。

 

膝蓋骨の上部が痛む

膝蓋大腿関節症では膝を動かす時に痛みを感じますが、しばらく安静にしていればほとんどの場合痛みは治まります。しかし、症状が進むにつれて痛みは激しくなり、ひどい場合には安静にしていても激しい痛みが治まらないこともあります。

 

膝蓋骨が外側にずれている

膝蓋大腿関節症では膝蓋骨の脱臼を伴うことも多く、その場合には膝蓋骨が外側にずれているため違和感や不安定な感じを覚えます。こういった状態をそのまま放っておくと、軟骨がすり減ったり骨が変形してさらに症状が進行していきます。

 

膝が腫れる、こわばる

症状が進むと、炎症によって膝が腫れたり、軟骨がすり減り、骨が変形して関節がスムーズに動かなくなったり、こわばったりするようになり、痛みも激しくなってしまいます。

 

 

膝蓋大腿関節症の原因

 

膝蓋大腿関節症は、大腿脛骨関節に起こる変形性膝関節症と比較すると頻度が少なく、そのほとんどは反復性膝蓋骨脱臼や亜脱臼によって起こる二次性変化であると考えられています。膝蓋骨の脱臼は、膝に無理な力や衝撃が加わったりしたときに起こることがある他、膝の周りにある靱帯がなんらかの原因で緩んでしまった時にも起こる場合があります。

 

膝蓋骨と大腿骨は、本来はうまくかみ合って関節がスムーズに動くようになっていますが、膝蓋骨が脱臼して外側にずれることによって、そのかみ合いがずれて軟骨に無理な力が加わってしまいます。つまり、脱臼してずれたまま動かしていると、軟骨がすり減ったり傷んだりしてしまうことになります。

 

このような状態を繰り返して病状が進むと、軟骨部分がなくなってしまったり、骨が変形するなどの変化が起こり、痛みが激しくなったり膝がスムーズに動かせなくなるなどの障害が起こるようになります。これらの病状の進行には、当然ながら加齢による変化も大きく影響してきます。

 

 

膝蓋大腿関節症の検査と診断

 

レントゲン撮影

膝蓋大腿関節症の診断には、まずレントゲン撮影を行い、骨と骨のすき間がどうなっているか、骨の位置関係がどうなっているか等を見ます。レントゲン撮影では、軟骨がかなり減ってしまったり、骨が変形したりといった、かなり症状が進んだ状態であればわかりますが、初期の状態では診断することが困難です。

 

MRI

膝蓋大腿関節の状態をさらに細かく観察するためにMRIの撮像を行います。MRIは様々な断面での撮像が可能なため、軟骨の減り具合や骨と骨のすき間、骨の変形などを詳しく観察することが可能です。MRIは、膝蓋大腿関節症の病状がどの程度進んでいるのかを診断するためにとても有用な検査です。

 

関節鏡

膝蓋骨の位置ずれや膝蓋骨裏面にある軟骨のキズや毛羽立っている状態など、他の検査ではわからないような部分もはっきりと見ることが出来ます。

 

 

膝蓋大腿関節症の治療法

 

(1)保存的治療

膝蓋大腿関節症の治療は、まずは保存的治療が選択されますが、主に以下のような方法が用いられます。

 

生活習慣の改善

日常の生活での様々な動作が膝関節に大きな負担をかけてしまっていることがあります。特に、姿勢や歩き方の癖や体重が大きな負荷となっていることもありますので、生活習慣を改善することでこれらによる負荷の軽減をはかります。

 

運動療法

運動療法は、膝関節の周りの筋肉を鍛えることで膝関節を補強し、膝関節が変形することを防ぎます。運動療法と聞くと痛そうなイメージを持たれるかも知れませんが、これは膝関節の周りの筋肉を鍛える運動で、痛い膝には体重をかけませんので、あまり痛みはありません。

 

病院で医師やリハビリテーションのスタッフの指導を受けて行いますが、自宅でもできる運動なので、毎日続けることで少しずつ膝の状態を改善していくことを目指します。

 

薬物療法

激しい痛みに対しては、消炎鎮痛剤や湿布薬が投与されます。また、ヒアルロン酸等を関節内に注射する治療も行われることが多いです。ヒアルロン酸の注射は中等度の症状には効果があることも多く、関節の動きを滑らかにし、炎症を抑えたり、軟骨がすり減るのを防ぐなどの効果が期待できます。

 

装具療法

運動療法で筋肉を鍛えるだけでは不十分で、膝の関節をさらに補強する必要がある場合には、装具が用いられます。装具は骨が正しい場所にいくように矯正します。膝蓋骨が外側にずれるのを防ぐことの出来る装具は、膝蓋大腿関節症の痛みをかなり改善できる場合があります。

 

 

(2)外科的治療

保存的治療では効果がない場合には、手術によって症状の改善をはかることを検討します。しかし、変形性膝関節症の多くは大腿脛骨関節に起こりますので、膝蓋大腿関節症に対する手術はあまり多くは行われていません。

 

人工膝関節置換術を行う医療機関のなかには、膝蓋大腿関節のみを人工関節に置き換える手術を行っているところもありますが、膝蓋大腿関節に対する専門的な手術を行える医療機関は少ないと思われますので、手術を希望される場合には当該手術の件数を多く行っている医療機関や医師を探すことが必要になります。

 

膝蓋大腿関節置換術

膝蓋大腿関節置換術は、人工膝関節のなかでも膝蓋大腿関節の部分だけを小さな人工関節に置換するという手術ですが、膝蓋大腿関節の軟骨がなくなっていても大腿脛骨関節の軟骨は残っているような場合に適応になります。この手術は、皮切や骨の切除も少なく、また膝関節内の靱帯も温存することができるため、体への負担も少なく早期の回復が可能です。