慢性関節リウマチ

慢性関節リウマチ

 

慢性関節リウマチは膠原病のうちのひとつで炎症性の自己免疫疾患です。全身の関節に慢性的な炎症が起こり、病気が進むと関節の変形が起こってきます。そして関節だけにとどまらず肺や心臓、眼、血管など全身の臓器に障害が及ぶことも多い病気です。

 

慢性関節リウマチの原因は、はっきりわかっておらず、発病には遺伝的な要因や感染症による免疫の働きが関係しているとも言われています。厚生労働省により特定疾患に指定されており、重症の場合には指定を受ければ治療費は公費負担となります。

 

 

慢性関節リウマチの症状

 

以下の症状が慢性関節リウマチの代表的なものになります。

 

朝の手のこわばり

慢性関節リウマチの初期に見られる特徴的な症状として、朝の手のこわばりがあります。朝起きると手がこわばって握ることができず、それは生活に支障が出るほどで、1時間以上続くこともよくあります。他の病気でも手のこわばりは出ることがありますが、それが1時間以上も続くようであれば、慢性関節リウマチの可能性が高いので、専門医に受診することをおすすめします。

 

関節の痛みと腫れ

次に、関節の痛みが生じるようになってきます。まず手と足の指に痛みが出るようになり、関節が腫れてきますが、左右同じ関節が腫れたりするのが特徴です。次に手首・足首、肘・膝と、徐々に体に近い大きな関節に痛みと腫れが生じるようになってきます。関節に炎症を起こしているので、関節を動かしたりしていると、さらに痛みはひどくなってしまいます。

 

関節の変形

病状がもっと進むと、関節の炎症によって関節の変形が起こってきます。関節の滑膜や軟骨が徐々に破壊され、変形して最終的には関節としての役割を果たさなくなってしまいます。骨と骨が直接当たって関節を動かすことができない強直という状態になりますが、実はこの状態になると炎症も終わってしまい、逆に痛みは感じなくなります。

 

 

慢性関節リウマチの原因

 

慢性関節リウマチの炎症は関節内の滑膜がおかされ増殖することによっておこりますが、この病気は自分の免疫細胞が体内の組織を異物と誤認して攻撃してしまう自己免疫疾患とされています。自己免疫が体内の組織を攻撃してしまう仕組みについては、遺伝やウィルス感染が関係しているのではないかと研究が進められていますが、詳しいメカニズムはまだわかっていません。

 

発症するのは圧倒的に女性が多く、男性の3〜4倍にもなります。また、慢性関節リウマチは膠原病という、組織と組織をつなぐ結合組織に炎症が起こる病気に分類されています。これらの病気について全くわからなかった時代から、時と共に様々な研究が進み、病気に関する概念が複雑に関係していますので以下にそれぞれ説明します。

 

自己免疫疾患について

自己免疫疾患とは、本来は進入してきた異物から体を守るための免疫システムが、何らかの原因で自分自身の組織を異物と誤認して攻撃してしまう病気です。自身の細胞を抗原として産生される自己抗体の存在が大きく関わっていると考えられています。

 

自己免疫疾患には、全身に症状が及ぶ全身性自己免疫疾患と、特定の臓器に症状が起こる臓器特異的自己免疫疾患とがあります。慢性関節リウマチ等の膠原病は全身性自己免疫疾患に分類されています。

 

膠原病について

膠原病には、慢性関節リウマチの他、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎などがあります。この他にも、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、ウェゲナー肉芽腫症、好酸球性筋膜炎、成人スティル病、強直性脊椎炎、ベーチェット病、サルコイドーシスなど多くの病気が膠原病関連疾患とされています。

 

膠原病は体内の様々な組織をつなぐ役割をはたす膠原組織に障害や炎症を起こす病気の総称で、その多くには自己免疫が関わっていると考えられています。また、膠原病というのは本来は診断名ではなく疾患についての考え方であるとされていますが、実際には安易に診断名として使用されているという現実があります。

 

 

慢性関節リウマチの検査と診断

 

慢性関節リウマチは、治療の開始が遅れるほど関節の変形も進み、治すことが難しくなってしまいます。最近では新薬の開発などによって、早期発見すれば病気の進行を抑えることや寛解まで持って行くことも可能な病気になりました。いかに早く診断し、治療を開始できるかが重要になります。

 

診断基準

そこで、まずは診断の基準になるチェック項目ですが、これは日本リウマチ学会が定めたものです。以下の項目のうち、3つ以上に当てはまれば早期の関節リウマチと診断されます。

  • 3つ以上の関節で、指で押さえたり動かしたりすると痛みがある
  • 2つ以上の関節に炎症による腫れがある
  • 朝のこわばりがある
  • 皮下結節が肘や膝などにみられる
  • 血液検査で赤沈に異常がある、またはCRPが陽性である
  • 血液検査でリウマトイド因子が陽性である

 

血液検査

慢性関節リウマチの診断には、血液検査が重要な指針になります。まずは血沈とCRPにより炎症反応の度合いを調べます。また、リウマチの診断に補助的に用いられるのがリウマトイド因子です。また、MMP−3もリウマチの診断に多く行われる検査ですが、特に変形性関節症や痛風などとの識別に有用とされています。

  • 血沈
  • CRP
  • リウマトイド因子
  • MMP−3

 

関節液検査

関節液検査では、関節液の状態を見ることによってリウマチの診断材料となります。通常は黄色透明な関節液が、リウマチ患者では白く濁ったり、関節液の中に白血球が増えたりという変化が起こってきます。

 

レントゲン撮影等

レントゲン撮影では、骨の変形の他、関節の隙間、関節の融合などの状態を観察します。
そして、関節の破壊やびらんを観察するためにより有用なのがMRIで、CTよりも滑膜や軟骨の描出に優れています。必要に応じてこれらの検査も行い、診断します。

 

 

慢性関節リウマチの治療法

 

慢性関節リウマチの治療法は、主に投薬による治療が行われますが、病状によって様々な種類の薬剤の中か選択し、痛みや炎症などの症状を緩和します。最近では新たな治療薬の開発により慢性関節リウマチの治療成績も上がってきています。

 

抗炎症剤

抗炎症剤消炎鎮痛剤は非ステロイド系とステロイド系とがありますが、どちらも根本的な治療ではなく対症療法になります。通常は非ステロイド系の抗炎症剤が用いられますが、それでは効果がない場合や重症の場合にはステロイド系の抗炎症剤が使用されます。効果は強力ですが、副作用も強く、慎重な使用が求められます。

 

抗リウマチ薬

近年、様々な抗リウマチ薬の開発によって、治療効果はめざましく向上しました。なかでもメトトレキサート(リウマトレックス)によって関節破壊の進行を遅らせることができるようになったことは画期的と言えます。しかし、骨髄抑制や間質性肺炎などの重篤な副作用もあり、慎重な使用が求められます。

 

免疫抑制剤

免疫抑制剤は、臓器移植後の拒絶反応を抑えるために使われる薬ですが、自己免疫疾患の悪化を防ぐのにも効果があります。ただし、重い副作用が出る可能性もあるため使用が難しく、肝障害や胃腸障害、免疫不全による感染症などに注意をする必要があります。

 

生物学的製剤

生物学的製剤とは、今までのような科学的に合成したものから作られた薬剤ではなく、生物によって作られた蛋白質を利用して作られた治療薬です。抗炎症作用も高く、関節破壊を抑制する効果も高いですが、免疫抑制効果が強いため感染症には特に注意が必要です。

 

 

このように、慢性関節リウマチの治療薬は目覚しい進歩をしており、治療効果も上がっています。なかには寛解という治癒に近い状態にまで持って行くことも可能なケースもありますが、治療薬には重篤な副作用もあり、患者の状態をしっかりと観察しながら慎重に投薬することが必要となります。