痛みとともに生じる膝の「腫れ」があったらどうしたらいい?
痛みとともに生じる膝の「腫れ」があったらどうしたらいい?
歩いたり、階段を登り降りしたりするときにツラいのが膝の痛み。軟骨が老化していたり、靭帯を損傷していたりと原因はさまざまです。しかし、痛みとともに膝が「腫れている」場合、もしかすると膝に血がたまっているのかもしれません。
また、膝が痛いだけでなく、熱が出てきたり、患部が腫れてきたりする場合があります。そうした症状の場合、原因はなんでしょうか。もしかすると膝に関する病気の疑いがあります。
この記事ではいくつかのけがや病気について説明しています。腫れがある場合は一度チェックしてみてください。
膝に水がたまっている場合
膝に水がたまってぶよぶよしている場合、「関節水腫」の可能性がありますが、膝が腫れている場合は血がたまっているおそれがあります。その場合はまず2つの原因を疑いましょう。
半月板損傷
膝はあらゆる動作をするときに、かなりの負担がかかります。その負担をやわらげるクッションのような働きをしているのが「半月板」という軟骨組織です。この部分は、大きな負荷がかかると損傷してしまう場合があります。
「半月板損傷」を起こしていると膝が腫れるだけでなく次のような症状がでます。
- 膝がひかかったような感じがする
- 膝が曲がらなくなる
- 膝に力が入らない
靭帯損傷(じんたいそんしょう)
膝には外側や内側、また前後に靭帯がありますが、どこかの靭帯に強い負荷がかかると切れたり破けたりしてしまいます。「靭帯損傷」は、膝が腫れるだけでなく次のような症状をともないます。
- 強い痛みとともに「ブチッ」という音がした
- 膝がぐらぐらとしていたり不安定な感じがする
- 歩いているときに膝ががくんと落ち込む
膝の腫れが、半月板損傷や靭帯損傷である場合、それぞれに応じた治療を早めに行う必要があるでしょう。
熱や腫れを伴う膝の痛みが続く場合
熱や腫れを伴う膝の痛みが続く場合、次のような病気の可能性があります。
関節リウマチ
全身の関節に炎症がおこり、壊れてゆく病気です。大抵の場合痛みは膝やひじ、手足の関節から始まってゆきます。安静にしていても痛みがありますが、動かすとさらに痛みます。また、左右の同じ箇所が痛むのも特徴のひとつです。30〜50歳の、特に女性に多い病気です。
化膿性関節炎
細菌が関節の内側に侵入し、炎症を引き起こしたり、関節を化膿させたりしてしまう病気。急激な痛みと共に、寒気、発熱といった風邪のような症状が出るという特徴があります。膝の手術をしたり、注射したときに細菌に感染してしまったりというのが大きな原因です。免疫力の落ちている高齢者に良くみられます。
結核性関節炎
結核菌が関節に侵入し炎症を起こします。特に夜中に痛みがひどくなるという特徴があり、痛み以外にも発熱、だるさ、体重減少などもみられます。過去に結核をわずらったり、結核の人と接触したりして感染するというケースが考えられるでしょう。
治療方法・対処方法は?
膝の腫れがある場合、それぞれに応じた治療を早めに行う必要があるでしょう。
半月板損傷の場合の対処方法
半月板を損傷した場合は、傷ついた部分を修復することと安静にしていることが治療の基本となります。損傷が軽く痛みも少なければ、傷ついた半月板を修復する手術は行いません。痛む部分を温めたり、サポーターで固定したりするという保存療法が行われます。
膝が動かない場合は破片が関節に入り込んでいる可能性があるので、半月板を修復したり切除する手術を行います。基本的には内視鏡手術となるので、時間も1時間前後、1週間程度で退院できるでしょう。
また、たとえ半月板を取り除いてもふだんの生活には支障はほぼありません。激しいスポーツはできませんが、軽い運動は可能になります。
靭帯損傷の場合の対処方法
膝の靭帯は、大腿骨(だいたいこつ)や頚骨(けいこつ)をつないでいます。ゴムのようなものですが、伸縮性はないので膝を安定させたり無理な方向に曲がってしまわないよう固定したりする役割があります。
しかし、スポーツなどで普通は曲がらない方向に強い力がかかったり、「ひねり」がかかると切れたり破れたりする場合があります。
靭帯を損傷した場合は症状によって治療が変わります。完全に切れていない場合は、ギプスやサポーターで膝を固定する「保存療法」が行われます。安静にしていると自然と回復していくでしょう。
しかし、完全に切れてしまった場合自然に回復することはありません。手術によって靭帯を修復する「再建治療」が行われます。
膝の痛みとともに、熱や腫れがある場合
まずすべきことは「冷やしてみる」こと。というのも、膝が腫れている場合は内側で炎症が起こっているからです。温めてしまうと炎症を悪化させてしまうことにもなりかねません。
保冷剤や氷水など家で手軽に用意できるもので構いません。一回につき10分程度冷やす。これを1日に3回ほどやってみて様子をみましょう。
冷やすときの注意点
冷やすときには2つの注意点があります。
冷やし過ぎない
痛みの原因が炎症だからといって冷やしすぎるのも良くありません。例えば、保冷剤を冷凍庫から取り出した状態で使用すれば、冷たすぎて凍傷を引き起こすおそれもあります。タオルで巻き、じんわり冷えるくらいにしておきましょう。
冷やすのは数日間が限度
炎症に対して冷やすという処置は、あくまでも応急処置です。長い期間続けると痛みを悪化させることにもなりかねません。まずは3日を目安に冷やすことをしてください。
腫れや痛みがおさまらない場合は、医師に診断してもらう方がよいです。ほうっておくと症状が悪化するおそれもあります。自分で対処しようとするのではなく、専門家に診てもらい、正しい処置をすることが痛みをやわらげる上で欠かせないことなのです。